まとめの目的
受託開発の提案は、放っておくと「機能一覧と金額」の勝負になります。そうなると相見積もりで価格の安い会社が勝ちます。
一方で弊社が受注・進行している案件を振り返ると、勝ち筋は別のところにありました。「作った後、どうやって儲けるのか」を、開発の前に一緒に設計しているという点です。
本資料は、その動き方が実際に表れている3案件を「マーケティング支援」という切り口で整理したものです。営業の場で、「開発会社としてではなく、事業パートナーとして選ばれる」ための材料としてお使いください。
3案件を分類すると、支援の形は3つに分かれます
核家族化で家族の歴史が引き継がれない。故人のスマホのロックが開けられず、口座も保険も分からない。この「心」と「実務」の両方を支えるアプリを作りたい ── ただしフル機能を一度に作る前提だと投資規模が大きく、構想段階では判断できないという状態でした。
さらに、金額について「率直に高い」と言われていました。ただし付帯して「全部できる内容なら適正かもしれない」とも言われている。つまり問題は金額ではなく前提の違いだと分かっていました。
| モデル | 内容 | 顧客の本業との接続 |
|---|---|---|
| 1. 容量・保存期間の拡張 | 写真・動画の容量追加、高画質保存、5年・10年の長期保管、二重バックアップ、一括出力 | 「永久保管」は運営コストが積み上がるため、期間を区切った商品設計+更新案内で継続取引に |
| 2. 非常時の専門サービス紹介 | 葬儀・保険金請求・相続・遺品整理・空き家等の相談先を、状況に応じて案内 | 紹介料・成約手数料・提携料に加え、自社商品・サービスへの送客 |
| 3. 制作支援・現物商品の販売 | 登録代行・自分史の聞き取り制作・家系図作成/自分史冊子・メモリアルムービー・QR付きカード等 | 既存の仏具・供養商品とそのまま組み合わせ可能 |
補足:本件では特許抵触リスクの整理も並行して行い、「対処できるのは設計を固める前だけ」という論点で要件定義フェーズの必要性を説明しています。マーケティングというよりリスク設計ですが、価格勝負を避ける材料としては同じ効き方をします。
自社の8〜10店舗向けに管理システムを導入する案件でした。ここで止めれば、単なる社内システムの受託開発です。しかし「自社で使えるものは、同業他社にも売れるはず」という発想に立てば、顧客にとって新しい収益事業になります。
ポイントは Phase 2 で「売上○%UP」「業務時間○%削減」の事例を作ること。実績がないとパートナー交渉も外販営業も成立しません。順番の設計そのものが提案の中身になっています。
| 強み | 外販への活かし方 |
|---|---|
| 自社8〜10店舗での運用実績 | 「自分たちが使って成果が出たシステム」として信頼性が高い |
| 業界ネットワーク | 業界の横のつながりを活かした営業が可能 |
| 現場の課題を熟知 | 同業者の悩みに刺さる提案ができる(机上の空論ではない) |
| 導入・運用サポート力 | 自社で培ったノウハウで、外販先の導入もスムーズに支援できる |
DNA解析キットは単発で売れる商品です。買って、検査して、結果が出たら終わり。これでは事業が積み上がりません。「解析結果を、その後の継続購入につなげる導線」をどう作るかが本質的な課題でした。
健康ログが効いています。毎日記録するという行為がアプリを開く理由になり、その蓄積が提案の精度を上げ、提案の精度が購入につながる。ここが途切れるとループは回りません。単なる記録機能ではなく、マーケティング上の要として設計しています。
なぜこの進め方が効くのか
| 共通点 | 中身 |
|---|---|
| 開発の前に事業の話をしている | 3件とも、機能一覧より先に「どう儲かるか」「どう売るか」を整理している。顧客が本当に判断に迷っているのはそこ |
| 顧客の既存資産に接続している | A社=仏具・供養の本業/B社=業界ネットワークと自社店舗/C社=既存EC。ゼロから作らず、持っているものに乗せる |
| 段階に分けて、最初の判断を軽くしている | 要件定義フェーズのみ/自社導入から始めて外販へ/第1フェーズと第2フェーズの分離。いきなり全額を稟議にかけさせない |
| 選択肢を、判断材料ごと渡している | 松竹梅の3パターン/既存ECプラットフォーム vs 新ECプラットフォーム の両見積。決めてあげるのではなく、決められる状態にする |
| 後から拡張できる設計を約束している | 3件とも「初期フェーズの設計時点で将来拡張を考慮する」と明記。将来の話が、今回の設計品質の説明になっている |
どの局面で、どの事例を出すか
| こう言われたら | 出す事例 | 言い方の例 |
|---|---|---|
| 「他社より高い」 | CASE 01(A社) | 「前提が違う可能性があります。同じ土俵で比較いただけるよう、機能別の前提条件を出させてください」 |
| 「予算が通せない/稟議が重い」 | CASE 01(A社) | 「総額を一度に決めず、まず要件定義フェーズだけ起案する形もあります」 |
| 「社内システムだから投資対効果が見えない」 | CASE 02(B社) | 「自社で使えるものは、同業他社にも売れます。外販まで含めて設計しませんか」 |
| 「作った後、続くか分からない」 | CASE 03(C社) | 「単発で終わらない導線を、最初から組み込みます」 |
| 「相見積もりで何社か見ている」 | CASE 01+03 | 「機能と金額以外の論点を1つ持ち込ませてください。収益化と、リスクの話です」 |
| 「要件がまだ固まっていない」 | 全件 | 「弊社は要件が固まる前から入るのが得意です。要件そのものを一緒に作らせてください」 |